友人から「古本屋さんのイベントをやるからきてね^^」という連絡が届き、茨城にある利根町というところに行ってきた。

天気もよく、気持ちのよいドライブだった。1時間半くらい走っただろうか、広々とした田んぼや大きな河を渡ると、ほどよく草臥れた感じの住宅地に着いた。どうやらここがこの日の会場らしい。

シャッター商店街のまん中にある小さな広場に、ダンボール箱や机など、思い思いのレイアウトでこの日限りの「本屋さん」達が軒を連ねている。

友人の店はすぐに見つかった。

まだ準備中なのだろうか、開始時間をだいぶ回っているのだが。看板製作中の店主と挨拶を交わす。

隣接する公園の芝生では、大人も子どももリラックスした時を過ごしていた。

野球に興じる少年。浮かんでいるのは何故かミカンのように見える。

 

イベント後の友人に話を聞いてみた。

印象的なお客さん、いた?

「杖ついたおじいさんがやってきてね。一緒にきたおばあさんに「あるかい?」なんて聞きながら、ふたりの財布から小銭をかき集めて買ってくれたのが、

・『正法眼蔵随聞記』っていう禅僧の本

・養老孟司の『無思想の発見』、あと、

・ユヴァルノアハラリの『サピエンス前史(前巻)』の3冊だったんだ。

悩んでやっぱりその手を止め本棚に戻したのが、小林秀雄の『人生の鍛錬』で。もうね。

その歳になっても新旧問わず文字に書かれたものから何かを読み取り吸収しようとする姿に感銘を受けたし、自分は何歳まで本を読むのだろうか、とも考えさせられたよ。

断捨離的な意図もあり参加したイベントだったけど、まだまだ本にはお世話になっていくのかなって、思ったんだよね。

選ぶ本でその人が出るというか。深沢七郎『楢山節考』と星新一『ようこそ地球さん』(タイトルかわいいですネ)を買ってくれた人がいて。その組み合わせにグッとくるね。昭和!本好きな息子さんにプレゼントするって言ってたよ。

ほとんどが自分が100円で買った本を100円で売ってるような世界なんだけどね。これは、商業活動なのか、娯楽なのか、どっちだと思う?キミはどっち?」

いやいや、それは自分で決めてくださよ。笑

「あそっか、ごめんね。笑

言葉の集合体でもある”本”そのものには、空間みたいなものが宿っていると思うんだよ。”共通言語”っていう言葉があるけど、お互いに読んだことのある本を目の前にすると、その本を読んで違う風景を見ていたのだとしても、お互いがその一冊の”書物”という同じ空間に出入りしていたことがある、みたいな親密さは生まれると思うんだ。

今回は、大量の本を預けている友人から、一部を取り出してもらった形だけど、本が読める場所、また作りたいね。」

子供の食べているオムライスを羨ましそうに見つめながら、饒舌な友人なのであった。

 

繁盛している時間帯のお店(サクラ疑惑アリ)。

みなさん、ありがとうござました!

 

最近耳にしたラジオですが、これもまた、本のあらたな楽しみ方なのかなという、

谷川俊太郎さんの『みみをすます』の朗読に、いろいろな曲を乗せる、という面白い試み。

※下のリンクから聞くことができます。