久々に訪れた下井草は夕暮れの街並み。いい時間だ…通りの向こうにおばさん、赤ちゃん、中学生、etc.…今日の「何か」を終えた人々が、西日の中から現れる。
久々に訪れた下井草は夕暮れの街並み。いい時間だ…通りの向こうにおばさん、赤ちゃん、中学生、etc.…今日の「何か」を終えた人々が、西日の中から現れる。
ORGANIC MUSIC(オーガニックミュージック)はそんな街の生態系の中に佇んでいる。下井草ではその昔、江戸城に納めるイグサを刈り取っていたという。湿地帯だった土地柄の名残なのか、そよ吹く風の中にはいくらか湿気が含まれている気がする。店の前の植え込みには雑草めいた植物が、飛び交う虫たちと交信しながら小宇宙を構成していた。
DJとしても活動している清水さんは、アナログの山脈を辿るように「音楽」を採集しながら世界のあちこちを旅している。
ミナス地方のレコード屋さんの今昔物語や、デュッセルドルフの夜中のタクシーでアラブ人のおじさんが掛けていた「グリグリの」ダンスミュージックの話、などなど。都市のフォークロアについて、音楽のように響き続けていた声に耳を傾けていると、訪れたこともない場所にもかかわらず、街並みや人の顔が、夢のように頭に浮かぶのだった。