未来の花屋+チャーマァ in 野方ミョルニル

 

ある春の日、野方の駅前商店街。小雨が降ったり止んだりしている。

 

埼玉のアマビエこと、チャビエさんの運営する「未来の花屋」と、花園神社の酉の市など、全国各地の祭りで見世物小屋に出演している「デリシャスィートス」のチャーマァさん。

今日は二人のコラボレーション撮影が行われている。

 

二階のサロンに上がると、濃い花の香りが漂っている。
しばらく家に籠っていたせいか、風に運ばれた匂いが新鮮だった。

少し早めに到着したのだけど、慎重に集合したスタッフによる撮影はもう始まっていた。

 

「お前たち!」と花に声をかけるチャビエさん。

「カッパでいいんですか?」チャーマァさんからの質問。

「そう。ちょっとユラユラしてくださ〜い。」

なんとも楽しそう。

 

この日、喫茶店で隣り合ったおじさんが写真を見ながらつぶやいてくれたポエムを採録(ありがとうございました)。
写真と合わせてお届けいたします。

色とりどり おり とり ちりぬるを

わたし あいつの はなことば

ぐぐぐんぐん ぐるんぐんぐん

ぶぶん ぶんぶん ぶんぶ〜ぶん

ちりぬるを ちりぬるを

そのなかの そのなかを

どれどれ 見てみましょう

あれ あれ あれれ?

あれー!?

行ったり 来たり

いいのいいの、いーの

ここにも たまご

もうじき うまれる

もしもし ワクワク きこえる おとが

こぽこぽと 気持ち わきあがる

はなれたり まざったり

 

 

 

撮影を終えたチャーマァさんに話を聞くことができた。

 

_なぜ河童に興味が?
「気がついたらもうカッパの虜になっていたんです。なんか調べていくうちにどんどんハマって。」
_へぇ。カッパというと、各地にいろんな伝承がありそうですね。
「そうなんです。四国のシバテンとか、子供のカッパがあらわれて相撲を取ろうとするんですが、そのカッパがすごい可愛くて。」
_ワクワクしますね。
「うん。ひょうきん。」
_いいなぁ。

 

「だいたい薬をくれるんですよね。お礼に。それで、すぐ治る。」
_薬なんですね。
「金沢では実際に、おじいさんがカッパに教えられたすごいいろんな薬草を混ぜて作っている薬を買いに行ったことがあります。」

 

「浅草にもあるんですよね。カッパのミイラの寺が。」
ーあっ、なんか聞いたことがあります。
「曹源寺って言うお寺で、カッパ寺とも呼ばれているんです。」
※合羽橋(かっぱばし)の近くにあるお寺。

 

「いるのかなって思ってる。そんな時代が平和だなって思います。」
_きっといますね。

 

「カッパの伝説に子供の尻子玉が好きでっていう。その、尻子玉を取ったカッパはすぐ判るって書いてあって。

『恍惚の表情で川を流れている』みたいなんですよね。」

 

カッパについて話すチャーマァさんの言葉に耳を傾けているうちに、いつしかその場に居るみんながカッパに変容しつつあるようだった。

 

それぞれが片付けをすませ帰る頃には雨もあがり、まちなかを歩いていると夕闇にまぎれおじいさんの鼻唄が聴こえてきた。